昨今の情勢で、吉田茂元首相が昭和32年2月、防衛大学校第1回卒業式にて捧げた祝辞を、ネットで見つけたんですけども
「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、 歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。
きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。
御苦労だと思う。
しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、 外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、 国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。
言葉を換えれば、君達が日陰者である時のほうが、国民や日本は幸せなのだ。
どうか、耐えてもらいたい。」
全文読んでみたいなと思ったら、ネットで拾った意見によると
「戦い好まば国亡び戦い忘れなば国危うし―防衛大学校卒業祝辞集」(三浦朱門編)
という本に収録されてるんですってー。
というワケで読んでみたんですよ(図書館にあった)。
この本読んで初めて知ったんですが、防衛大の卒業式は、内閣総理大臣、衆参両議長が
全て揃う、唯一の大学なんだそうで。
で、憲法解釈うんぬんも絡んでくるので、政治家である総理大臣等は率直な祝辞は
贈れないんですが
来賓の民間人は、色々思いのままの祝辞を贈ってくれるんですって。
主に民間の方の数十人の歴代の祝辞が収録されてますが、読み応えありました。
古代ローマの武人のエピソードを盛り込んだ塩野七生さんの祝辞は面白いし、
ビジネスマン(のトップ)的な観点からのアサヒビール樋口会長の祝辞は「ほーっ」と思うし
ドイツ的エピソードを盛り込んだ内田藤雄駐独大使の祝辞は「へー」と思えました。
個人的にいちばん心に染みいったのは、作家阿川弘之さんの祝辞(阿川さんの
エッセイ集に収録されているそうなんで、ご興味のある方は読んででみてください)。
スティーブ・ジョブス氏のスタンフォード大学の来賓祝辞 も良いけれど
やっぱり卒業式の祝辞ってなんとも言えぬ「心に染みいり感」がありますよね。
が、自分の大学卒業時のことは祝辞どころか何も覚えてない。
つくば在住の大学時代の友人ー!覚えてるー?とメール。
返信「雨降ってたよね」
他には。
返信「覚えてない」
はっはっは(涙)。
ところでこの本、冒頭の吉田茂首相の言葉が収録されてないぞ。