1000円グルメの旅

1000円札一枚で、日本中の美味しいもの食べてみたい。 と、47都道府県をさすらうブログです。

March 2013

そもそも走るキッカケになったのはこちら

東京マラソンに出ることになったのはこちら


38キロ関門を前にして、

唯一、胃が受け付けるエネルギー源だった塩飴が尽きてしまった 。

もう、水しか飲めない。

水だけで残り5キロ、行けるのか…と

絶望したその時…


「塩飴です。どうぞー!」


えっ!?


1000円グルメの旅 from 宇都宮 to 47都道府県


塩飴!?(画像はイメージです)


37キロあたりの沿道で、若い女の子がザルに塩飴をたくさん入れて

ランナーに配っていたのでした。いわゆる私設エイドで、全くの善意。


ありがとおおおお!あなたは天使です。


ひと掴みもらい、右頬に一個、左頬に一個、それぞれ飴を含んで

走り出しました。(残りはポケット)

そう、私は今…頬袋にドングリをため込んだエゾリス


行くぞー。

そう、目の前は38キロ関門。


1000円グルメの旅 from 宇都宮 to 47都道府県


通過ー。たぶん5時間40分くらい(ロスタイム17分含む)。

関門閉鎖が6時間16分。


がんばれ、自分。い、胃がつらいけど…。


声援「走りたくても走れなかったヤツがここにいるんだぞー!

    俺たちの分まで、最後まで諦めずに走れー」


そ、そうだよ。今回の東京マラソンの倍率は、定員3万6千人に対して

10倍の申し込みがあったんだ。

私のようなニワカランナーは、せめて完走せねば。


声援「走ることを楽しんでー!笑って、笑ってー」


無理ですうう。

もう楽しめない。

…と泣きそうになった私が「あはははは」と笑ったのは

この場でも、目の前を走っていたハイボールとメンチカツ さんが

沿道で大人気で

「ハイボール!がんばれ!ハイボール」「メンチカツー!」と

熱い声援を受けていたのでした。

ありがとう、ハイボールさんとメンチカツさん。

おかげで、脱力というか、良い意味で力抜けました。


ミニスカポリス も「ミニスカポリスー!」「がんばれー!」と

熱い声援を受けてました(お隣にいた)


…とその時。


ものすごい横風が直撃したのです。


この日は強風で、ニュースになるくらいでした。

帽子を飛ばされるランナー多数。

へたすりゃ倒れそう。

私も必死に帽子を抑えました。


メンチカツさんを心配したのですが(形状的に)

横風だったので、受け流せたようです。良かった。

ミニスカポリスのスカートは大丈夫だったのだろうか。


そして41.5キロ地点の最終関門通過。

関門閉鎖は6時間53分。


腕時計を見て…。

1時間近くも余裕ある。

もう、歩いても這ってもゴールできる。

だけど…


せっかくここまで必死に走ってきたんだから

最後まで走っていこう。


東京ビックサイト前の交差点を曲がり…


ゴールゲートが見えました。

二段構えになっていて

42キロ地点に一箇所。

42.195キロ地点に一箇所。


二重で出迎えてくれました。

そのゲートが見えた時は、もうなんとも言えず。


「…」


ただ無言。

涙でゲートがぼやけてきた。


その最初のゲートをくぐり抜け

その次のゲートを、今くぐり…


私の42.195キロの旅も、やっと…

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終わったのです。


タイムは…6時間22分と表示されてるけど、私のロスタイムは17分だから…

引いたら6時間5分くらいかな。

6時間は切れなかった。しょぼん。

でもいいや。

歩かずに完走できたんだ。


初フルマラソンでゲートくぐったら、どんな心境になるんかなー

泣き崩れたりするんかなーと興味津々だったのですが

実際体験すると、高校の卒業式の感覚と似てました。


「泣いて笑った青春時代の終わり」


のような。



ゲートをくぐった後は、


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完走記念メダルを首に



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完走記念タオルを肩にかけてもらえました。

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その他にも色々もらえました。

バナナ、お水、アミノバリュー、ソイジョイ、

ミカン(ホテルで途中まで食べてから撮影してないことに気づいた)。


ゴール地点からビックサイトまでは、システマティックに進むように

導線ができてまして、私はまっすぐホテルに帰ろうと思ってたのですが

ビッグサイトに一度入らなければ帰れないようになってました。

(↑預けた荷物の受け取りを忘れている)


で、ビッグサイトに歩いていく最中、友人たちから次々に携帯に

「おめでとう」メールが入りまして…


街中勤務の友人「おめでとー!正直、無理かと思ってたよー。

           同じく参加の同僚は4時間38分だったわ」


4時間38分…早い…。


鋭意育児中の友人「おめでとう!

            あんたと出会った高校の入学式から今までのことが

            こう、走馬灯のように目の前をよぎって、うるうるしちゃったよ」


わーん、なんか私もつられて走馬灯だよ。


つくば在住の大学時代の友人「おめー!携帯でタイムチェックしてたけど

                   ずっとペース走できてたね!あんなに苦しんでたのに。

                   報われて良かった」


え、ペース走できてたんだ。遅いなりに。


丸の内外資系OL&人妻「ゴール地点、観客は入れなかったから

                ホテルのロビーで待ってる」


え、待っててくれたんだ。行かなきゃ。

ビッグサイトからホテルまで、歩いて数分だし。目の前だもんね。



なんて思ってたら…


正直、今回のマラソンでいちばん辛かったのは、ここからでした。


続く。



そもそも走るキッカケになったのはこちら

東京マラソンに出ることになったのはこちら

35キロ関門を過ぎ、自分でも自覚できるほどスピードが落ちてきました。

が、それは私だけでなく周りのランナーもそんな様子でした。


なるほど、これがウワサの35キロの壁か。

イッキにスピードダウンして、足が動かなくなるランナーもいるという。


声援「1センチー!あと1センチ歩幅短くする感覚で走れー!」


歩幅短く?するとラクになるのかな?


でも、もう足の調整ができない。

なんというか、私の意思とは無関係に、ただ機械的に足だけが進んでいく感じ。

上半身は調整が効くから、スピードがダメな分、せめフォームだけでも

きっちりやろう。

腰は曲げず、身体はブレないように腹筋を使って

ヘソ下3センチの丹田を意識して、

視線は前、

腕は肩甲骨を寄せるようなイメージで振る。

…と頭では分かってるんだけど、実際できてるんだろうか。


とゆーか、そもそも私は足は(そんなに)疲れてないんだ。

胃が、胃がひたすら辛い。

吐き気がするっていうんじゃなくて

胃から空気が次々に昇ってくる感じ。


パワージェルはもちろん、もうアミノ酸も受け付けない(味が)。

干し梅は食べきってしまった。


ならば、後はひたすら…



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塩飴!

塩飴で乗り切るしかない。

5個持ってきてよかった。さっき2個くらい食べちゃったけど。

なんかの本で読んだけど、フルマラソンの場合は

最初から最後まで飴なめながら走るくらいでちょうどいいらしい。


ところで、さっきから


「とんかつー!」

「とんかつがんばれー!」


って声援が気になるんだけど。

なに、私に言ってる?

そりゃ私はとんかつ大好きだけど、その気持ちが溢れて見える?

…と、周りをキョロキョロしたら

背中にでっかく


「婚活中」


と書いたランナーが走ってました。

なるほど、こんかつか。

とんかつじゃないのね。


…ううう、とんかつのことを思い出すだけで胃が苦しいいいいい。


ああ、フルマラソンの消費カロリーが3千カロリーで、

フルコースと同じくらいのカロリーと知った時

「フルマラソン走れたら、フルコース食べられるんだ!」と

喜んだけど、とてもとても無理だー。


そして、目の前に



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佃大橋が迫ってまいりました(画像は著作権フリーサイト様から拝借 )。

高低差10メートル、距離100メートルの東京マラソン最大の難所。


でも自信をもつんだ、自分。


そう、日光杉並木マラソンの高低差80メートル を、歩かず駆け抜けたではないか。

日光杉並木マラソンの完走率は88パーセント(2011年の場合)

東京マラソンの完走率は96パーセント。

ある意味、東京マラソンの方がラクに違いない。

そう思いこむんだ、自分。


とあるランナーのブログを読んだら

「このあたりでロッキーのテーマが流れてましたね」と

書いてあったのですが、私は全く記憶がない。


この時、私の脳裏を流れていたのは、奧華子ちゃんの「変わらないもの

この曲が流れる「時をかける少女」のシーンで、ヒロインの真琴が叫ぶセリフ。


「行っけぇぇぇぇぇ」


を、頭の中で叫びながら、佃大橋に飛び込んでいきました。

どんなにゆっくりでも、歩いてはいけない。

歩いたらもう最後、テンションが切れて足が止まってしまう。

巨峰の丘マラソン大会の高低差200メートルの前に屈服して歩いてしまった

あの悔しさを乗り越えるのは今。

佃大橋を走りきったら、あの悔しさは無かったことにしよう、うん。


10メートルなんて、なんてことないじゃんー。

…と、パンフレット読んだ頃は思ってたのですが

このレース終盤に、10メートルはなんとも言えぬ「とどめ」で…

でも…


よっしゃー、走りきった。橋越えたー!

よし、これで巨峰の丘マラソン大会のトラウマはクリア!

残りは…


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5キロチョイ。

がんばれ、皇居一周くらいじゃないか。

しかし…ダメだ、橋で体力かなり消耗した。

エネルギー補給しないと。

塩飴を…

えっ!?


ポケットに無い!?


う、ウエストポーチには…

もう無い。なんにもない。


うそー!塩飴どころか、全部食べきってしまっていたのか。


朝はポーチがパンパンに膨らんでいて

「こんなに持ってくることなかったかなー」

なんて後悔してたのに。


給水所は目の前。

でも、もうスポーツドリンクも胃が受け付けない。

水しかダメだ。


水だけで、残り5キロ行けるのだろうか。


関門は、まだあるのに。

次は38キロ関門が…それを越えれば最終関門、

そしてその向こうにはゴールゲートが待ってるのに。


続く。


そもそも走るキッカケになったのはこちら

東京マラソンに出ることになったのはこちら


25キロ関門を過ぎたので、もうすぐで浅草寺にぶつかるはず。


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で、スタート地点でお隣にいた、72歳の女性ランナーの方


「浅草寺にぶつかった時の嬉しさったらないわよ」

と言われていたので、
どんなもんかなと思ってたのですが

間もなくー

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ぶつかりました。


おおおお!雷門。

人生二度目。

最初に来たのは高校時代だったから、何年空いたんだ。

ある意味、日本(観光)の象徴。

うれしー!


あ、で、ここで右手を見るんだよな。

右手側は…


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スカイツリーだ!

そして、アサヒビールの有名な、… オブジェ!


わあああああ。初めて観たー!スカイツリー。

なるほど、右手にあるのは、これかああ。


ある意味、日本(技術)の象徴。


ああ、素晴らしい、なんて素晴らしいんだ。日本。


ここで、足を止めて写真撮るランナー続出でした。

私も撮りたい、撮りたいけど…

ここで足を止めたらテンション下がるおそれがあったので

涙を飲んで走り続けました。


なもんで、上の二枚は、後日別件で浅草に行った時に撮ったものです。


二度目に観た時は初回ほど気分の盛り上がりがありませんでした。

やはり、走っていた時はトランス状態に陥っていたのであろうか。

閑話休題。


で、スカイツリーのあたりがランナー撮影スポット(後日その写真を買えるのです)

確か、スカイツリーのポーズ撮ってくださいって話だった。


周りのランナーと一斉に、


スカイツリーポーズ!

(手を頭の上で山に)


まだこんな元気あったんだなぁ、私。


で、さらにその女性ランナーに言われていたことを思い出しました。


「浅草寺過ぎたら、地獄なんだけどね」


そうだ。30キロ走の時も、25キロすぎあたりから地獄と化したっけ。

なんか、だんだん胃が苦しくなってきた。

これ以降はパワージェルは食べられないな。

身体が受け付けない。


そうだ、用意してきた干し梅食べてみようか。


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「マラソン1年生」でたかぎなおこさんが、ホノルルマラソンの時に

干し梅でリカバリーしたって話を読んだので、持ってきたのです。


と言いつつ、私は梅干しがあまり得意でなく

ご飯とかに混ぜ込んであるならまだしも、単体では食べられないのでした。

でもこういう時は、美味しく感じたりするんかもしれない。

いただきます。


おいしー!


先ほどのロールケーキとはまた違く感じる美味しさで

なんといいますか、身体の中心で光が「ぴかーっ」と弾けるよう。


これもまた日本(の伝統)の象徴。

わんだほ、日本。


と言ってるうちに30キロ関門通過。

4時間24分。

関門閉鎖が4時間46分だから、大丈夫。


そしてここからが「未知の領域」。

30キロ以上走ったことないもんね。



身体の疲れはそれほど強くは感じないものの…

胃の苦しさがキツくなってきたかも。

というか、私の身体大丈夫なのか。


声援「がんばれー!ゴールを諦めるなー!」


はいー。


声援「明日の仕事は諦めろー!」


うわーん(涙)。



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35キロ関門通過。

私のタイムは5時間10分。

関門閉鎖は5時間27分。


うっ。ペース落ちてきた。

自分でもそれを実感する。


そして、ここからがウワサに聴く「35キロの壁」。


さらにその先には、「東京マラソン最大の難所」と言われる

佃大橋が控えているのでした。


続く。