「おしん」がヒットした頃、

「あの頃の貧農の娘は、おしんより酷い境遇がいっぱいいた! おしんは幸運すぎる!」

みたいな批判が結構あったそうですが、じゃなきゃ朝ドラヒロインになれないじゃないか、と

思ってしまった私です。


その「ダーサクサイド・おしん」ではありませんが、その当時の貧農の娘がたどった境遇…

と言われて私が思い出すのが


1000円グルメの日々in宇都宮

曽根富美子さんの、レディースコミック界に名を残す名作「親なるもの 断崖」(現在絶版)。

1980年代後半に、レディースコミック(多分、秋田書店のボニータ・イブだったと思う)に連載されました。

曽根さんは、そもそもは少女コミック誌「ひとみ」で、目から星が散るような少女漫画描いてらして

何かのインタビューで読んだところでは「そんな漫画がイヤになった」ということで

レディースコミック作家に転身されたんだそうです。

私、当時はレディースコミックの対象年齢ではない幼さでしたけども、毎月、人目を忍んで

これ読みたさにレディコミ雑誌立ち読みしてました。トラウマレベルでスゴイ作品でした。

が、当時のレディコミは「読み捨て」。単行本になるなんて、まず無いことだったんですが

めでたく、数年後に単行本化されたのでした!

さらに第21回日本漫画家協会賞優秀賞も受賞。(レディコミからは異例な話だったと思います)


内容はと言うと、昭和初期。

青森の貧農の娘4人が室蘭の遊郭に売られてくるところから始まります。

最初に見えたのが、アイヌ語で「断崖」を意味する「チキウ岬」。

四人を連れてきた女衒が、

「死にたくなったらここに来い」

と言うほどの、過酷な運命が四人を遅うのでした。


16歳の松恵は、着いたその日に客を取らされ、その晩に自殺。

14歳の美貌の武子は、「落ちぶれた公家の娘」という設定で、道内一の芸者に。

11歳の梅(松恵の妹)は、室蘭遊郭のナンバー1の座に。

同じく11歳の醜女の道子は、「大衆便所」と呼ばれる最下層の遊女に。


ヒロインは梅ですが、ヒロインとは思えないほど悲惨な状態に。

当時のエリート・新日鉄の社員に身請けされ、正妻となり娘を産むのですが

「元・女郎」という過去が夫も娘も苦しめ、二人の前から姿を消し

顔をわざと汚して、老婆の振りをして生きていくのでした。


ものすごい取材の跡を感じさせるリアルなエピソードと、救いの無さは今でもトラウマで、

そして涙無しには読めないのでした。

(ラスト、梅の娘の代になって、若干の救いがあるのです)


いちばん泣けたのは、遊郭近くの中学生は、

「朝まで一生懸命働いている可哀相な女郎さんを起こしてはいけない」と

通学時に決して騒がないように、と学校で教えられていたエピソードですかね。


そんなワケで、私はレディースコミックが好きに育ち、大学時代、某レディースコミック編集部で

バイトをしていたのでした。

編集部の人に、曽根さんの作品のスゴさを熱く語ったところ


「今度原稿の依頼に行くから、サインもらってきてあげるよ」


\(゜□゜)/


そんなワケで


1000円グルメの日々in宇都宮



この本の見返しには、曽根さんのサインが輝いているのでした。えへへへへ(///∇//)


※2015/4/21補記

20年の時を越え、電子書籍で大ブレイクするとは思いませんでした(感涙)。